
スマート家電で家庭が変わる?──コデラ総研 家庭部:CES2015特別編

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この記事を読むと、スマート家電がどのように家庭生活を変える可能性があるかについて理解することができます。2015年のCES(Consumer Electronics Show)で紹介された技術的進化に焦点が当てられており、具体的には未来の照明技術や電子レンジの新技術、自動水やり機について解説されています。
Panasonicの照明技術は、視覚センサーとプロジェクションマッピングを組み合わせ、テーブル上の物体に応じた動的なライティングを実現するものです。この技術は家庭でも応用可能で、センサーを活用して照明を動かせる未来が近づいていると言われています。また、4Kや8Kプロジェクターを照明に転用する可能性も示唆されています。
最新の電子レンジ技術では、Panasonicが発表したCycronic Inverter方式が紹介されており、食材をより均一に温めることを可能にしています。これは特に冷凍食品を多く消費する米国の家庭にとって、料理の質を向上させるものとなる可能性があります。
最後に、フランスのParrot社が開発した自動水やり機が紹介されています。この機器はさまざまなセンサーを用いて植物に最適な水分を供給し、持続可能なガーデニングを支援します。こうした技術は家庭での植物栽培をより簡単にすることが期待されています。
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スマート家電で家庭が変わる?──コデラ総研 家庭部:CES2015特別編
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(隔週木曜日)のCES2015特別編(これまでの連載一覧)。今回のお題は「スマート家電で家庭が変わる?」。
文・写真:小寺 信良
今年もまたCESの取材で、米国ラスベガスに来ている(編集注:昨年の記事「ロボティクスで家事効率化──コデラ総研 家庭部:CES2014特別編」)。これまでCESはコンシューマ家電のショーではあるものの、ホーム家電の展示はほとんどなかった。だが今年はずいぶん様変わりしており、冷蔵庫や洗濯機がアワードを受賞したりと、ホーム家電に革命が起こりつつある。今回はホーム家電に関係しそうな技術をご紹介しよう。
未来のライティング
Panasonicのブースで見つけた、未来の照明のデモンストレーションはなかなか興味深かった。天井に視覚センサーとプロジェクタが仕込まれており、テーブルの上に置かれたモノを検知し、それに対応するライティングを、プロジェクションマッピングの要領で動的に行なうというものだ。
例えばテーブルにデザートメニューを広げると、全面においしそうなデザートが投影されるが、メニューのところだけはその形状に合わせて照明がマスクされる。メニューの場所を動かすと、マスクの場所も付いてくる(写真1)。
写真1:センサーとプロジェクションマッピング技術を組み合わせた照明
ナプキンを広げると、食事が届くまでは全面に風景が、ワイングラスが置かれると、その位置に円形のライティングが施される。デモではレストランでの利用を想定しているが、センサーと照明を組み合わせて動的に動かすという方法は、家庭内でも応用できるだろう。最近はLEDのシーリングライトも安くなり、色温度や輝度を自由に変えられる。それを自分がリモコンで変えるのではなく、センサーを使って動かしてやるという世界は、もうすぐだ。
また今後登場するであろう4Kや8Kのプロジェクタも、テレビを見るために使うのではなく、上から照明として使うという方法論もありうる。ベッドサイドで電気スタンドを点け、手元の明かりを足すなどということは、過去のものになるかもしれない。
まだ進化する電子レンジ
電子レンジなどはもう1960年代から家庭に普及した、超レガシーな調理機器であるが、未だに新しい発明がなされている。最近の電子レンジはもっぱら回転台がなく、マイクロ波のほうを変調によって回す方式がとられているが、今回Panasonicが発表した「Cycronic Inverter」方式は、マイクロ波をX軸に対して回転させることで、より均一に食品などを温めることができる(写真2)。
写真2:新方式Cycronic Inverterを搭載した新型電子レンジ
従来型のように表面と内部の温度差が激しいと、冷凍食品などは中身から水分が溶け出したりしておいしく解凍できないが、この方式はそれを解決するという。特に米国では、料理をほぼ冷凍食品だけで済ませる家庭も少なくない。コンビニやドラッグストアでも、冷凍食品コーナーは異様に充実しているのが普通である。
すなわちこれの意味するところは、家庭のメシはデフォルトでマズい国なわけだが、この方式の普及で米国の家庭でも初めて、「おいしい食卓」が出現する可能性が高まる。
センシングで水やり
本格的なガーデニングとまではいかないまでも、家庭内でいくつかの鉢植えで植物を育てている人も多いだろう。うっかり水やりを忘れてしまったり、やり過ぎて枯れてしまったりと、植物の特性に合わせて水やりをしないと、うまく育ってくれない。
ヘッドホンやドローンといった、まったく脈絡のないものを作るフランスのメーカーParrotが今年発表した新製品は、自動水やり機である。ペットボトルを差し込むタイプの「Parrot H2O」は、各種センサーを通じて土壌水分、肥料、気温、光量といったパラメータを常時監視、最適なタイミングで最適な分量の水を補給してくれる(写真3、写真4)。
写真3:超高度な自動水やり機、Parrot H2O
写真4:アプリに情報を集約、その植物に最適な育て方をアドバイスしてくれる
「Parrot Pot」は植木鉢と水のタンクが一体になったモデルで、タンクの水が少なくなったときは、その植物に最低限必要な水分量を補給するようアルゴリズムが切り替わり、水を節約して長く保つようにしてくれる(写真5)。
写真5:植木鉢と一体化した水やり機、Parrot Pot
今回の渡米で1週間留守にしているわけだが、鉢植えには毛細現象を利用した紐でペットボトルから水をやるようセットしてきた。だがこの方式は水分量を調整できないので、小さい鉢植えには多すぎだし、2リットルのペットボトルでも3日ぐらいでなくなってしまう。こういうちょっとした便利商品も、IoTの力でどんどん革命が起こっている。(了)
本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、とりあげて欲しいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)
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