日野 瑛太郎
ブロガー/「脱社畜ブログ」管理人。著書に『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)などがある
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この記事では、第一に、チームの生産性を向上させるためには、メンバー全員で業務の目的を明確にして共有することが重要であるとしています。業務の目的が不明確では、適切な優先順位を付けて作業を進めることができず、生産性を下げてしまう可能性があることを指摘しています。また、全員で目的を共有すれば、誰かが考え違いをしていても他のメンバーが軌道修正をすることができ、チームとしての生産的な行動が可能になります。
さらに、会議が生産性を落とす最大の敵であることを指摘し、会議の時間が多くのメンバーを拘束することで、実質的に大きな時間ロスを招くと説いています。そのため、必要な場合のみ会議を開き、その進行も効率的に行うことが工夫の一部として求められます。
加えて、過度の共同作業が生産性を悪化させることもあり、場合によっては適切な役割分担の方が効果的であると述べています。無駄な残業を避けるために、定時後に帰りやすい職場の雰囲気を作ることも生産性向上には重要だとしています。
総じて、チームとしても個人としても高い生産性を実現するためには、明確な目標設定、効果的な会議運営、適切なタスク分担、そして健全な職場文化の醸成が必要であることを強調しています。
ブロガーズ・コラム
【サイボウズ式編集部より】「ブロガーズ・コラム」は、サイボウズの外部から招いた著名ブロガーによるチームワークコラムです。今回は日野瑛太郎さんによる「チームとして生産性を上げるには何に気をつければよいのか」について。
自分が所属しているチームが「いいチーム」であることの条件のひとつに「生産性が高い」ことが挙げられます。
生産性が高いチームで働くのは気持ちがいいものです。自分がしっかり価値を生み出していることを実感しながら日々の仕事に打ち込むことで自己肯定感が得られますし、ムダ残業やムダ会議に巻き込まれて疲弊することも少なくなります。プロジェクトが成功する可能性もきっと高くなるでしょう。
一方で、生産性が低いチームで働くのは苦しいものです。いくら働いてもそれがきちんと成果につながっているのかよくわからない状態は精神的につらいものがありますし、ダラダラと続く会議や、常態化した残業は人を疲弊させます。プロジェクトもかなり高確率で炎上・失敗するでしょう。生産性が低いことでいいことなんてひとつもあるわけがありません。
このように、高ければ高いほどいいに違いない生産性ですが、実際にチームを「生産性が高い」状態にすることは必ずしも容易ではありません。周囲を見回せば、生産性が低いチームはいくらでも見つかる一方で、生産性が高いチームはそれほど多くないことに気づくはずです。多くの人が「生産性を上げるのは大切だ」と言いながら、実際には非常に生産性が低い状態で働いているのです。
そこで今回は、「チームとして生産性を上げるには何に気をつければよいのか」について考えてみたいと思います。
チームとして生産性を上げるためにまず最初にやらなければいけないことは、メンバー全員で業務の目的を明確にして共有することです。
生産性を上げるためには、日々の業務に適切な優先順位をつけることが不可欠です。時間をかけるべきでないものに時間をかけていては、生産性が上がるわけがありません。そして適切に優先順位を判断するためには、業務の目的から逆算するのが近道です。そのためにも、業務の目的が何なのかは完全に明確になっていなければいけません。
また、業務の目的は個人個人が好き勝手に認識しているという状態ではダメで、全員がしっかりと同じ目的を共有している必要があります。そうすることで、個人ではなくチームとしても生産性の高い行動を取ることができるようになります。たとえば、仮に誰かが目的にそぐわない優先順位で仕事をはじめた場合に、全員で目的が明確になっていれば他の誰かが軌道修正をかけてくれる可能性が高くなります。一方で、各々が目的を勝手に設定していた場合は、その都度議論が必要になり、ますます生産性が落ちていきます。
チームの生産性を阻害する最大の敵のひとつに「会議」があります。実際、ダラダラと続く不毛な会議にうんざりしているという人は少なくないのではないでしょうか。
これはよく言われることですが、1時間の会議がチームから奪っている時間は実際には1時間ではありません。その1時間の会議に仮に7人が参加したとしたら、1✕7=7時間がチームから失われているのです。その貴重な7時間を使って、結局何も決まらなかったとしたらそれは害悪以外の何者でもありません。会議のコストは非常に高いということをまずチームメンバーは全員強く心に刻む必要があります。
その上で、どうしても会議をしなければいけない場合は、その時間を可能な限り生産性の高いものにする工夫をしなければいけません。具体的な方法は以前「定例会議をなくせ」というコラムの中で書いたので詳しくはそちらを見て欲しいのですが、軽くおさらいするとまず冒頭で会議の目的を確認し、議事録をスクリーンに投影して脱線を防ぎつつ、短時間で終わるように心がけるべきです。あたりまえですが、会議に関係のない人を巻き込んではいけません。「とりあえずチーム全員招集しておこう」などもってのほかです。別に、会議に呼ばなかったからと言ってその人に対して失礼にあたるということはありません。
また、チームの生産性という観点では会議をどの時間にいれるかも工夫が必要です。会議に参加するためには、一度それまでの業務を中断し、頭を会議モードに切り替えなければいけません。その後また業務に戻るにしても、会議前と同じ集中力を取り戻すためにはまた時間がかかります。このように、「まとまったひとつづきの時間」が会議によって中断されるのは本来であれば望ましいことではありません。会議をいれる際に考慮できるのであれば、できるだけ作業中断が起きにくい時間に会議を招集するようにしたいものです。
「ひとりでやるよりも、みんなでやったほうが早い」という考え方があります。これは素朴に考えると一見正しいようにも思えますが、仕事の性質によっては必ずしもそうとは言えません。分割が可能な単純作業であればたしかに同時に作業をする人数を増やすことで速度を上げることができるでしょうが、実際には分割することで逆に混乱を招く作業も少なくありません。むしろ、普通に会社でチームとしてプロジェクト遂行を行う場合には、単純分割ができないケースのほうが多いのではないでしょうか。
チームとしての生産性を上げたいのであれば、ヘタにみんなで手伝うよりも適切な役割分担をしたほうがよいでしょう。責任範囲を明確にし、手伝って効率のいいものは手伝うにしても、手伝っても意味のないものは手伝わないとキッパリと決めてしまうべきです。間違っても「つきあい残業」などしてはいけません。ただでさえ、残業は生産性を落とすきっかけになります。ましてや、それを実際に仕事もないのに行うなどムダの極みです。
また、つきあい残業に関連することとして、「定時になったら帰りやすい雰囲気」をチーム内に作っておくことは生産性を向上させる上では非常に重要になります。仮にチーム内に「定時になっても自分だけ一人で帰るのは気が引ける」という雰囲気ができてしまうと、もうそれだけで仕事を効率的にこなそうというインセンティブが失われてしまいます。そうならないためにも、定時で帰る人をぜひとも笑顔で送り出すようにしたいものです。
チームとしても個人としても高い生産性を実現し、気持ちのいい毎日を過ごせる人が増えることを祈っています。
イラスト:マツナガエイコ
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「チームの生産性」を考える:
定例会議をなくせ
「自分でやったほうが早い」でチームは滅ぶ
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イラストレーター、Webデザイナー。サイボウズ式ブロガーズコラム/長くはたらく、地方で(一部)挿絵担当。登山大好き。記事やコンテンツに合うイラストを提案していくスタイルが得意。
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