PTA広報紙を電子化したった(6)──コデラ総研 家庭部(102)
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Target この記事の主なターゲット
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- PTA関係者
- 教育関係者
- LINE広報紙に興味がある人
- デジタル化に関心がある人
- 広報活動をしている人たち
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Point この記事を読んで得られる知識
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この記事では、PTA広報紙の電子化に関する取り組みについて紹介されています。技術的ライターである小寺信良氏は、LINE@を活用し、従来は紙で配布していたPTA広報紙をデジタル形式に変換する試みを行いました。2017年10月から、実際に広報紙の電子化を進め、QRコードを使った購読の促進活動を行いました。この活動は中学生の家庭を対象に行われ、最初は保護者にプリントを配付して購読を促した結果、最初の夜に約100人が購読し、その後もクチコミで広がりを見せました。さらに、学校の緊急メールシステムを通じた告知などを用いて購読者数を増やした結果、12月末には376名、全体の54%の家庭が購読することになりました。
この取り組みは、印刷物として手に入る紙の広報紙では例えリーチ率が100%であったとしても、実際に読まれることは少ない現状を鑑みて、電子広報紙として意義ある試みとされています。こうしたLINEを使った電子広報紙は、PTA役員からの評価も高く、近隣学校のPTAからも取り入れたいという声が上がっています。この記事では、実証実験としての側面を持ち、続行の可否はアンケートを通じて決める方針とされていますが、既に近隣の学校やローカル出版社でも広報紙の電子化に対する関心が高まっています。
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Text AI要約の元文章
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tech
PTA広報紙を電子化したった(6)──コデラ総研 家庭部(102)
テクニカルライター/コラムニストの小寺信良さんによる「techな人が家事、子育てをすると」というテーマの連載(ほぼ隔週木曜日)の第102回(これまでの連載一覧)。今回のお題は「PTA広報紙を電子化したった(6)」。
文:小寺 信良
写真:風穴 江(tech@サイボウズ式)LINE@を使った記事作成の練習も終わり、2017年10月から実際の記事制作に入った。すでに夏休み中や9月中に取材したものがあり、ネタとしては困らない。
一方で、どうやって会員に購読を促していくかの手段を考える必要がある。今回はもっともシンプルな方法として、電子化実験の概要とQRコードを記載したプリントを保護者向けに配付する、という方法を取った。なぜこうした電子化が必要なのか、その背景などはプリントには書き切れないので、LINE@の1つのエントリーとして、QA方式で記載しておいた。
中学生ぐらいになると、なかなかプリントを親に渡さない家庭が出てくるものだが、配付したその夜からすぐに100人ほどが購読者となった。うちの中学は家庭数としては700弱あり、滑り出しとしてはまずまずだろう。
その後3日ぐらいで170名ぐらいの購読者となったところで、伸びが鈍化した。その後2カ月ほど様子を見ていたが、徐々にではあるが増え続けている。何日も経ってからプリントが発掘されるという線は考えられないので、おそらくクチコミベースで増えているのだろう。11月末の時点で、購読者数は約270となった。
分母が700名として、270名ということは、38%程度である。紙の出版においても、PTA広報紙をちょっとでも一読してくれる割合から考えれば、4割弱のリーチ率はまあそんなものかなぁといったところだ。
ただ、1度しか告知していないというのでは、アプローチとしては心もとないだろうということで、12月にもう一度QRコードを載せたプリントを配付した。また教頭先生からも、学校からの緊急メールシステムを使って、プリントを見るよう呼びかけていただいた。
これのおかげでまた一気に購読者が増え、現在12月末の時点で376名である。割合で言えば約54%といったところだ。これぐらい購読者がいれば、広報紙としてはまずまずの数字ではないだろうか。
もちろん、紙なら形式的にはリーチ率100%だと言えるかもしれない。だが現実には手元に届いても、見もしないで捨ててしまう保護者も多い。特に内容が目を引くものでなければ、なおさらだ。こう言っては失礼だが、校長先生や会長の挨拶文などを、喜んで読む人がそれほど多いとは思えない。それよりも写真がメインで、PTAの活動の様子を取材したエントリーがタイムリーに届くほうが、楽しいだろう。
拡がる電子化の輪
この取り組みは、まだ実証実験である。2017年12月まで記事を投下し、年明けに会員向けにアンケートを実施、感想や評価などを聞いたうえで、続行するかどうかを決定する。
もちろんアンケートの結果、そもそもLINEというサービスについて嫌悪感を持っているとか、PTAのオフィシャルな活動に民間企業の広告ツールを使うのはいかがなものか、といった意見も出ることは想定内だ。そもそもこうしたアンケートで強い意見を述べるのは、ネガティブな反応を示す人たちである。まあいいんじゃないの、という人は、特にリアクションがないのが普通であり、こうしたサイレントマジョリティの票読みを見誤らないようにしなければならない。
このやり方は、すべての人が満足する方法ではないだろう。だが運用のハードルの低さや速報性、コスト面などで、少なくともPTA役員側からはこの方法の評価は非常に高い。
近隣の学校PTAで作る連絡協議会でも、本校のLINE広報紙が話題になり、こうした方法を自校にも取り入れたいとして、近隣の小学校や中学校のPTA会長からオファーがあった。年明けに、方法論について説明会を実施することになっている。
同時に、筆者はインターネットユーザー協会代表理事として、日本全国の小中高にインターネットリテラシーに関する講演を行なっている。その際に、現地のPTAの役員の方にこの取り組みの話をして、実際のLINE広報紙を見せると、うちでも是非やってみたいというお話をいただく。むしろリテラシー授業よりも、今後はそっちの講演のほうが増えるかもしれない。
実はその一方で、これまで紙の広報紙制作を請け負っていたローカル出版社でも、広報紙の電子化についての方法論を研究し始めており、営業に回り始めているところだと聞く。うちの中学にはまだその話はきていないが、どういう方法なのか聞いてみたいものである。
次回は、アンケートの結果もお伝えできるだろう。加えて今後の課題は、この方法論の「マニュアル化」である。そこには、LINEというサービスが斜陽になり、別のサービスが台頭してきた場合に備えて、この方法論の「辞め方」も決めておく必要がある。
PTAの運用論は時々一般紙でも話題になるところだが、会長になってズバッと大鉈をふるうのは、抵抗もあり大変だろう。むしろこうした細かいところから徐々に近代化を進めていくというアプローチが正しいんじゃないかと思う。(つづく)
本連載では、読者の皆さんからの、ご意見、ご質問、取り上げてほしいトピックなどを、広く募集しています。編集部、または担当編集の風穴まで、お気軽にお寄せください。(編集部)
この記事を、以下のライセンスで提供します:CC BY-SA
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